【図解でわかる!】子育て支援ブログ ~こころのねっこ~

育児休暇を機にSEから保育士に転職した1児の父親が、自身の育児経験、保育経験の中で得た子どもも大人も幸せになる子どもとの関わり方やマインドを図解を使って分かりやすくお伝えします。自己肯定感を育むこと、子どもを主体として認める事を第一に考えています。育児中の方はもちろん、プレママ・プレパパや保育者の方も是非ご覧ください。

2-6.親のアクションはどんな時でも共感スタート

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1.まず共感を示し、気持ちを受け止めることが基本

子どものどのような行為であっても、まずは共感を示すことで「ボクのこと分かってくれた」「ぼくの話を聞いてくれた」と満足し、自分が大切にしてもらえたという気持ちが高まり自己肯定感が育まれていきます。

 

子どもが言うことを聞かない、どうも反抗的、拗ねている、そのような場合、子どもは「怒られてばっかり」「何も分かってもらえない」等、心の内に不満を抱えていることがあります。

子どものどのような言葉や行為に対しても、まず最初に必要なのは共感を示すことです。例え、友達を叩く、「バカ」など汚い言葉を使う、玩具を買ってもらえなくて泣きさけぶ等の大人から見て好ましくない行為があったとしても、まずは子どもの内面(心)を観て共感を示すことが必要です。

(内面を観ることに関する詳しい記事 外面ではなく内面(心)を観る』をご覧下さい。)

その好ましくない行為の中にも、その行為をせざるを得ない子どもの気持ちが必ずあるのです。まずはその気持ちに共感を示し受け止めたうえで、「でもお友達を叩くのは危ないんじゃない?」「バカって言われてお友達はどんな気持ちだったかなぁ?」と問いかけましょう。

どんなに酷いと思う行為でも、子どもの気持ちを考えず、頭ごなしに叱ったり注意をしては、子どもの不満や怒りが募るばかりです。それが日常的になると、引きこもり、不登校、キレやすいなどの心のトラブル、愛着不安、自己肯定感低下に繋がるのです。

 


2.共感する育児のフロー

では、頭ごなしに叱る場合と共感を示す場合とで、どのように子育てが流れていくのかをフローで見てみましょう。

※青色の枠が大人の行為。黄色の枠が子どもの行為や気持ちです。

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図)共感のフロー

のフロー(頭ごなしに叱る):

①子どもの行為に対して頭ごなしに叱ったり正論を言ったりします。どうして子どもがその行為をしてしまったのかを全く考えていません。

②子どもは往々にして、良くないことをしてしまったと本当は分かっているのです。それでもその行為に至るまでの背景や気持ちを全く分かってもらえないことにストレスや苛立ちを感じます。

③そのストレスや苛立ちが日常的に続くと、不満や怒りが溜まりことあるごとに反発をしたり、逆に何をやっても叱られるので委縮して自分を出せなくなっていきます。

④行きつく先は、引きこもり、不登校、キレやすいなどの心のトラブル、愛着不安、自己肯定感低下です。

 

のフロー(気持ちを受け止め共感する):

①例え好ましくない行為だったとしても、まずは子どもの気持ちを受け止めて共感を示します。「どうしたの?」等の、問いかけも良いでしょう。

②そうすることで、子どもは「聞いてもらえた」「分かってもらえた」と安心し落ち着くことが出来ます。すぐには落ち着くことが出来ずに何度も反発することもありますが、根気よく気持ちを受け止めて共感をし続けることで、次第におさまってきます。

③子どもの気持ちが落ち着いてから、どうすれば良かったのか、親がして欲しかったこと、正しいと思う振る舞いを伝えましょう。必ず共感を示し落ち着いた後に伝えるという部分が大きなポイントです。どんなに正しい事、正論を伝えても、子どもの心が落ち着いていない限り耳には入りません。

④自分の気持ちを分かってもらえたという安心感の中で伝えるからこそ、素直に聞けて心にスッと入るのです。

⑤そして子どもが行為を改めたり、素直に謝れたりした時は十分に認めてあげて下さい☆

⑥十分に認めてあげることで、親子の愛着や信頼が深まり、自己肯定感が高まるのです。そして、子どもは正しい行いを自らの意思で身に着けて行けるのです。

 

もしご自身の育児の中で、子どもが言うことを聞かない、反発すること等が続いて困っている場合、このフローのどこに自分がいるのか、どこで行き詰っているのか、見直して頂くと困り感が緩和されていくと思います。

 


3.具体例

では、いくつかのケースを想定して、共感を示した場合とそうでない場合にどのように子育てが進んで行くかの具体的なフローを見て行きましょう。

まずは、玩具を貸してもらえずに相手の子を叩いたケースからです。

※フロー内の番号と色分けは前述の「図)共感のフロー」の番号と色分けに対応しています。比較しながらご覧ください。

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図)相手を叩いたケース


 次に、公園遊びの中、帰る時間になってもまだ遊びたくて帰れないケースです。 

図)公園から帰れないケース

このように、子どもの行為に対してでなく、眼には見えない奥底に潜む子どもの内面(心)を捉えて声を掛けていくと良いでしょう。

気持ちを受け止めて共感してもヤダヤダが続くことももちろんあります。それでも、時には言葉を変えて根気よく受け止め続けていくと、次第に子どもの気持ちも収まってきます。受け止めず共感もしないよりは必ず親も子も納得感を持って次に進めます。

 

また、今まで共感を示さず叱ったり怒ったりして来られた方もいるでしょう(私も以前はそうでした)。この話を聞いてよしやってみようと1回共感を示したことですんなり上手くいくことは 稀です。しかしそこで諦めず、この共感スタートを繰り返すことで次第に「ママは(パパは)気持ちを必ず分かってくれるんだ」と理解が進み、落ち着いたやり取りになっていくのです。

是非、根気よく続けてみて下さい☆

 


4.「受け止める」と「受け入れる」の違い

前の章で共感を示す際に、気持ちを「受け止める」と出てきました。

「受け止める」と似た言葉で「受け入れる」というものもありますが、言葉の意味は全く異なります。ここをはき違えると子どもは何をやっても許されるとワガママ放題にもなりますので、違いをしっかりと抑えておきましょう。

「受け止める」ことは必ず必要ですが、「受け入れる」かどうかはしっかりとした基準を持ち判断したいですね。この基準についてはまた記事にしたいと思います。

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表)「受け止める」と「受け入れる」の違い

 


5.保育園での様子

保育園では、友達が使っている玩具が欲しくなり、「貸して」を言えずに無理やり取ってしまう場面がよく見られます。

この場合、「なんで取ったの!」「駄目でしょ!」「返しなさい!」等々、頭から叱るやり方をよく目にします。そうなると子どもは、怒ったり、泣いたり、玩具を投げたりして場面がヒートアップしていきます。

何故ヒートアップしていくのか。それはその玩具を「使いたかった」というその子の気持ちに共感を示せていないからです。気持ちを受け止めていないからです。

ではどのように声を掛ければよいのか?

このケースの場合は、まず最初に、玩具を奪ってしまった子に「これ使いたかったの?」と問いかけます。すると子どもはコクリと頷きます。場面に大人が介入してきた時点で叱られると思い少し心が動いていますが、この頷いた時点で少し落ち着きを取り戻します。自分の気持ちを聞いてもらえたからです。その落ち着きを見て、「そっか、この玩具使いたかったんだね」と気持ちに共感をすることで更に子どもは落ち着けます。そして「貸してって言えたのかな?」と問いかけると、首を振ったり、「言ってない」と答えてくれます。その後、自分の中で玩具を返さなきゃという気持ちと、でも使いたいという気持ちがぶつかり合う葛藤する時間があり、結果、自ら玩具を返せたりします。

玩具は使えなかったけれど、使いたいという気持ちはわかってもらえたので納得して次の行動に移れるのです(図内〇のフロー)。

子どもは1度で物事を覚えて行動に移すことは難しく、頭では理解出来ていたとしてもまた友達の玩具を奪ってしまう場合もあるでしょう。でも、気持ちを分かってもらえたという経験があれば、次は「使いたかったのね、分かってるよ」「でもどうすれば良かったのかな?」と声がけするだけで、玩具を返すことが出来るようになるのです。この繰り返しで、子どもは物事の良し悪しを覚え、正しい行動を身に着けていきます。

 

もしこの場面で、「使いたかった」という気持ちを受け止めて共感することなく、ただ叱ったり、無理やり返させたりするだけであれば、子どもはその先生に心を許すことは無いでしょう。不満が溜まり言うことを素直に聞かなくなるでしょう。不満や怒りが内にある分、更に激しく玩具を奪うなどの行為を繰り返すでしょう。それを抑え込むべく大人もヒートアップしていき、悪循環に陥るのです(図内✕のフロー)。

 

どのような場面であっても、まずは気持ちを受け止めて共感を示したいですね。 

 


6.まとめ

子どもの言葉や行為には、大人から見て好ましくないものが沢山ある。

その言葉や行為を頭ごなしに叱るのではなく、まず最初にその裏にある子どもの気持ちを受け止めて共感を示すことで子どもは素直に親の話を聞けるようになり、正しい振る舞いを身に着けていく。それが愛着形成や自己肯定感を高めることに繋がる。

気持ちに共感を示さず頭ごなしに叱ることを続けると、不満や怒りが溜まり、愛着不安や自己肯定感の低下に繋がる。