【図解でわかる!】子育て支援ブログ ~こころのねっこ~

育児休暇を機にSEから保育士に転職した1児の父親が、自身の育児経験、保育経験の中で得た子どもも大人も幸せになる子どもとの関わり方やマインドを図解を使って分かりやすくお伝えします。自己肯定感を育むこと、子どもを主体として認める事を第一に考えています。育児中の方はもちろん、プレママ・プレパパや保育者の方も是非ご覧ください。

「自分で片付けたかったの!」

保育園でのエピソードです。


1.状況

4歳児クラスのお話です。
自由遊びの時間に、他の友達に混ざっておままごとをしているAちゃんとBちゃん。
お片付けの時間となり片づけを始める子ども達。Aちゃんがテーブルに置いてあったお弁当箱を片付け始める。するとBちゃんが怒り出してAちゃんを叩き、言い合いになったところで保育士が割って入った。
  

2.タイムライン

保育士:「どうしたの?」
Aちゃん:「Aが片付けたかったのっ!」
保育士:「Aが片付けたかったのね」
Bちゃん:「Bが片付けるんだったのっ!」
保育士:「Bが片付けるんだったのね」
Aちゃん:「でもAが片付けてたのっ!」
保育士:「Aが片付けてたのね」「2人とも片付けたかったのね」
Bちゃん:「Bが使ってたお弁当箱なの!」
保育士:「Bちゃんが使ってたお弁当箱だったんだ。だから片付けたかったのね」とBちゃんの肩に手を置く。
Aちゃん:「でもAが片付けてたのに」
保育士:「Aちゃんも片付けたかったんだね」とAちゃんの背中をさする。
 
保育士:「2人とも片付けたかった。そうだよね。うん。分かったよ。」「どうすれば良いかね?」
AちゃんBちゃんとも何も言わない。 
保育士:「2人の気持ちは分かったからね。今度は叩こうとせずお話できると良いね」と2人の頭を撫でる。
 
2人とも落ち着きを取り戻し、少しうつむき加減で考え事をしているような表情をしている。
 
しばらくして、
 
Bちゃん:「叩いてごめんね」
Aちゃん:「勝手に片付けてごめんね」
 
保育士:「あら、2人ともしっかりお話出来たね。先生嬉しいな」
 
この後2人は残ったブロックを一緒に片付け始めた。 
 

3.考察

玩具の片付け時に、誰が片付けるかで起きる争い事。よくある光景です。
ここでの保育士の対応のポイントは2つ。
 
1つ目は、保育士が子どもの言葉をそのまま繰り返し続けた点です。
子どもから出てくる言葉をただただ繰り返しただけですが、子どもにとっては自分の気持ちが分かってもらえたと安心し落ち着くことが出来ます。変に意訳したり、子どもの心が揺れている時に叱ったりしても逆効果になることが多いです。
 
2つ目は、保育士が「Bちゃんが使ってたのだからBちゃんが片付けるべき」等のジャッジをしたり、「ごめんねしなさい」と謝ることを強要をしていない点です。
物事の良し悪しが分かっていない場合は、何が正しかったのかをきちんと伝える必要がありますが、このケースでは、AちゃんもBちゃんも何がいけなかったのかを心の中では分かっています。分かっていても上手く出来ないのが子どもです。十分に分かっていることについてわざわざ「〇〇すべきだった」等と更なる追い打ちをかけるようなことは私はしないように気を付けています。大人でも分かっていることをいちいち言われるのは良い気分ではないですからね。また、子ども自身が良し悪しを分かっているので「あやまりなさい」など謝ることを強要するのもヤボな話です。AちゃんもBちゃんも、自分の気持ちを分かってもらえた安心感満足感から自らの過ちを素直に認めることが出来て、自ら謝罪が出来たのです。
逆に言うと、自分の気持ちを分かってもらえず不満を抱える中で「ごめんねしなさい」と強要されて形だけ謝ることが出来たとしても、それにどれほどの意味があるのかということです。子どもは不満を抱えて、大人が満足するだけの構図ですね。
 
自分の気持ちが分かってもらえるということが如何に大切かということが分かるエピソードだと思います。
 
共感に関してはこちらの記事『親のアクションはどんな時でも共感スタート -』に詳しく載っています。是非ご覧ください☆