【図解でわかる!】子育て支援ブログ ~こころのねっこ~

育児休暇を機にSEから保育士に転職した1児の父親が、自身の育児経験、保育経験の中で得た子どもも大人も幸せになる子どもとの関わり方やマインドを図解を使って分かりやすくお伝えします。自己肯定感を育むこと、子どもを主体として認める事を第一に考えています。育児中の方はもちろん、プレママ・プレパパや保育者の方も是非ご覧ください。

2-9.アサーティブ子育て|肯定的な表現を(中編)

 


1.初めに

『アサーティブ子育て|肯定的な表現を(前編)』では、子どもとのアサーティブな関わり方について「言葉掛け」「表情」「雰囲気」の視点からお話しました。そして「言葉掛け」には「言葉」「声量」「トーン」「スピード」の4つの要素があることをお伝えしましたね。

この中編では、その中の『言葉』についてより具体的に見て行きます。 

 


2.言葉の分類

さて、皆さんは自分が話している言葉がどのような種類に分類されるのかを意識したことがありますか?

例えば、「どうしたの?」「どう思う?」は『問いかけ』という分類になります。「〇〇しなさい」は『指示/命令』。「〇〇しないと〇〇させないからね」は『脅迫』になります。

言葉の分類を肯定的な分類否定的な分類に分けて一覧で見て見ましょう。

言葉の分類表

言葉の分類表

普段何気なく子どもにかけている言葉には、こんなにも多くの種類があるのですね(まだまだ沢山あると思いますが分かりやすさを優先し絞っています)。

あなたはどの分類の言葉を多く使用していますか?

自分の言葉掛けの傾向を知っておくというのは大切な事です。

  


3.否定的な言葉は子どもの成長に悪影響を与える

これはもう言うまでもないですね。

上の表で否定的に分類される言葉を使用することはもちろん望ましくありません。日常的に否定的な言葉を多用していると、子どもの心の成長に悪影響を与えます。過度に大人の顔色を伺うようになったり、表情に乏しくなったり、心を閉ざしてしまったり。逆にキレやすくなったりもします。

日常的には使用してはいなくても、ほんの1回の言葉に傷付き、大人になっても忘れることが出来ないということもあります。

ではどうすれば良いのか?

頭に否定的な言葉が浮かんできた時は、その否定的な言葉を肯定的な言葉に変換してから話せば良いのです。その結果、「肯定的な分類の言葉のみを使う」という状態になるのが理想的です。

  


4.否定的な言葉を肯定的な言葉に変換する

否定的な言葉が頭に浮かんだ時、条件反射的にそれを口にせず、そこで一旦立ち止まって肯定的な言葉に変換してから子どもに伝えたいですね。

それでは、上記の言葉の分類表にもある、否定的な分類である『指示/命令』の変換パターンを3つ見て行きましょう。


【指示/命令の変換パターン1】

否定的な分類である『指示/命令』の言葉を、肯定的な分類の『受容/共感』と『願い』に変換します。

『指示/命令』変換パターン1

『指示/命令』変換パターン1

『指示/命令』変換パターン1の例1

『指示/命令』変換パターン1の例1

走ってはいけない場所、例えばお店の中や人込みなどで子どもが走り回っているとついつい「走らないで!」と大きな声で静止をしたくなりますね。その『指示/命令』である「走らないで!」を、『受容/共感』の「走りたいね」と、『願い』の「歩いて欲しいな」に変換しています。「走りたいね、でも歩いて欲しいな。」。

 

走りたいという子どもの気持ちを『受容/共感』の言葉で受け止めた上で、『願い』の言葉で大人が望む行動を伝えています。

頭ごなしに「走らないで!」と言われるよりは、自分の走りたい気持ちを受け止めてもらうことで、自分の気持ちが分かってもらえたと納得して大人の話を聞けるようになります。その上で「歩いて欲しいな」や「歩いてね」等、大人が望む行動を『願い』すると素直に行動に移し易いのです。

もし子どもが駄々をこねている場合は、『受容/共感』の言葉を繰り返す、スキンシップをとる等をし、落ち着くまで待ち続けることがポイントです。落ち着く前に『願い』を伝えても駄々がエスカレートする可能性があります。

 

それではもう一つ同じ変換パターンの例を見て見ましょう。

指示/命令の変換例

『指示/命令』変換パターン1の例2

騒いではいけない場所、例えば電車の中や図書館などで大きな声を出していると「静かにして!」「静かにしないさい!」等と注意したくなりますね。その『指示/命令』である「静かにして!」を、『受容/共感』の「いっぱいお話したいよね。」と、『願い』の「静かにして欲しいな。」に変換しています。

頭ごなしではなく、話したい騒ぎたい子どもの気持ちを受け止めてからこちらのして欲しい行為をお願いしています。

 


【指示/命令の変換パターン2】

『指示/命令』の2つ目の変換パターンとして、『受容/共感』と『理由を伝える』に変換することもあります。

『指示/命令』変換パターン2

『指示/命令』変換パターン2

『指示/命令』変換パターン2の例1

『指示/命令』変換パターン2の例1

『受容/共感』で気持ちを受け止めてから、『理由を伝える』の「走ると危ないよ」「転ぶよ」「ぶつかるよ」等、何故その行為を止める必要があるのかを伝えることで、自分で理由を理解して約束事を守ろうとするようになっていくことが期待できます。理由を伝えることで次に同じような場面になった時に「危ないから走っちゃだめなんだ」と思い出すことが出来ます。"次につながります"。

また、『受容/共感』を介さずに、『理由を伝える』のみでも肯定的な表現で子どもの行為を正せる場合も多いです。何度も注意を受けている場合は、子どもは走ってはいけないことを理解しています。理解しているけれど自己制御できないのが子どもなのです。そのような場合は「転ぶよ」「ぶつかるよ」等の走ってはいけない理由だけを伝えても十分に子どもの行為を止めさせることが出来るのです。間違っても走り回る度に「やめて!」「走らないで!」「何度言ったら分かるの!」と大人の方が大きな声で怒鳴ることは控えたいですね。子どもの自己肯定感の低下も心配ですし、何より大人も疲れます。それを「ぶつかるよ」の一言で場を収めることが出来るのです。

 

また、『願い』と『理由を伝える』を組み合わせることでも子どもは話を聞きやすくなります。強制感が無いからです。

「歩いて欲しいな。だってお友達とぶつかっちゃうよ。」

「静かにして欲しいな。ご迷惑になってるよ。」等々。

 

『受容/共感』『願い』『理由を伝える』の3つを組み合わせることも効果的だと思います。

指示/命令の変換例(組み合わせ)

『指示/命令』変換パターン2の例2

 


【指示/命令の変換パターン3】

『指示/命令』の3つ目の変換パターンとして、『問いかけ』『復唱』(または『代弁』)『受容/共感』に変換することもあります。

『指示/命令』変換パターン3

『指示/命令』変換パターン3

『指示/命令』変換パターン3例1

『指示/命令』変換パターン3例1

例えばまだ公園で遊んでいたいのにもうお昼ご飯だから帰ろう」とママに「言われて泣いて駄々をこねることがありますね。毎日の事だと親の方も "またか…" となりつい「泣くのやめて!」「泣くんだったらもう公園来ないよ!」等、否定的な言葉を言ってしまいがちです。

そのような時は、まずは「どうしたの?」「なんで泣いてるの?」等、『問いかけ』をしましょう。そして子どもから返ってきた言葉をそのまま『復唱』してあげましょう。また、言葉が上手く返ってこなかった場合は子どもの気持ちを想像して『代弁』してあげましょう。この例では「まだ遊びたかったのね」「まだ遊びたかったね」等になります。自分の気持ちを復唱または代弁してもらうことで、自分の気持ちを分かってもらえたんだと落ち着くことが出来ます。

そして『受容/共感』で「まだ遊びたいよね。分かるよ。」と共感を示すことでより落ち着いて大人の話を聞くことが出来るようになります。つまり、子どもが自分で気持ちを切り替えることを支えることになるのです。

自分の気持ちをを大切にされたという想いは、親への信頼と愛着へとつながり、自己肯定感が育まれていくのです。

 

子どもの行為表現には全て理由があります。当然泣くことにも子どもなりの理由があり泣かざるを得ない状況があるのです。それを頭ごなしに「泣くのやめて!」と抑圧すると子どもはどんな気持ちになるでしょうか?確かに泣かれるのは親であっても嫌な気持ちになるかもしれませんが、優しい口調と笑顔で『問いかけ』『復唱』または『代弁』、そして『受容/共感』とつなげて子どもの心の安定を保障したいですね。

 

日常的に指示/命令ばかりが続くと、子どもは自分で考える意欲が低下し指示待ち人間になります。今現在、指示/命令が多いなと感じられている方は、上記の変換を身に着けて指示/命令を減らし、子どもへの悪影響を防ぎたいですね。

さて、全ての分類について記述していくとこの記事が長くなりすぎるので、ここでは『指示/命令』の変換例の説明に止めておきますね。

他の分類については後編にまとめます。

 


5.すぐに出来なくても大丈夫(^^)

変換すれば良いとは言っても、口をついて出てしまうものはしょうがない、変換出来ないと思われる方もいらっしゃるでしょう。そのような方も心配ご無用です。すぐに出来るようになる必要はありません。初めから完璧に出来る人はいません。1日に10回否定的な言葉を使ってしまっていたなら、まずはその内の1回だけでも変換出来れば良いのです。そして後から「あぁあの時、否定的な言葉を使ってしまったな」と気付くことが出来れば良いのです。

変換を繰り返すうちに、変換を意識しなくても肯定的な言葉が出てくるようになります(^^) 

頭の片隅に入れておくだけでも違うものです。

 

また、頭で考えて肯定的な言葉に変換は出来たけど、自分の本音とは違うのでイライラしてしまうということもあるかと思います。イライラ/怒りついては、『アンガーマネジメントより大切なもの』でお伝えします。