【図解でわかる!】子育て支援ブログ ~こころのねっこ~

育児休暇を機にSEから保育士に転職した1児の父親が、自身の育児経験、保育経験の中で得た子どもも大人も幸せになる子どもとの関わり方やマインドを図解を使って分かりやすくお伝えします。自己肯定感を育むこと、子どもを主体として認める事を第一に考えています。育児中の方はもちろん、プレママ・プレパパや保育者の方も是非ご覧ください。

2-9.アサーティブ子育て|肯定的な表現を(中編)

 


1.初めに

『アサーティブ子育て|肯定的な表現を(前編)』では、子どもとのアサーティブな関わり方について「言葉掛け」「表情」「雰囲気」の視点からお話しました。そして「言葉掛け」には「言葉」「声量」「トーン」「スピード」の4つの要素があることをお伝えしましたね。

この中編では、その中の『言葉』についてより具体的に見て行きます。 

 


2.言葉の分類

さて、皆さんは自分が話している言葉がどのような種類に分類されるのかを意識したことがありますか?

例えば、「どうしたの?」「どう思う?」は『問いかけ』という分類になります。「〇〇しなさい」は『指示/命令』。「〇〇しないと〇〇させないからね」は『脅迫』になります。

言葉の分類を肯定的な分類否定的な分類に分けて一覧で見て見ましょう。

言葉の分類表

言葉の分類表

普段何気なく子どもにかけている言葉には、こんなにも多くの種類があるのですね(まだまだ沢山あると思いますが分かりやすさを優先し絞っています)。

あなたはどの分類の言葉を多く使用していますか?

自分の言葉掛けの傾向を知っておくというのは大切な事です。

  


3.否定的な言葉は子どもの成長に悪影響を与える

これはもう言うまでもないですね。

上の表で否定的に分類される言葉を使用することはもちろん望ましくありません。日常的に否定的な言葉を多用していると、子どもの心の成長に悪影響を与えます。過度に大人の顔色を伺うようになったり、表情に乏しくなったり、心を閉ざしてしまったり。逆にキレやすくなったりもします。

日常的には使用してはいなくても、ほんの1回の言葉に傷付き、大人になっても忘れることが出来ないということもあります。

ではどうすれば良いのか?

頭に否定的な言葉が浮かんできた時は、その否定的な言葉を肯定的な言葉に変換してから話せば良いのです。その結果、「肯定的な分類の言葉のみを使う」という状態になるのが理想的です。

  


4.否定的な言葉を肯定的な言葉に変換する

否定的な言葉が頭に浮かんだ時、条件反射的にそれを口にせず、そこで一旦立ち止まって肯定的な言葉に変換してから子どもに伝えたいですね。

それでは、上記の言葉の分類表にもある、否定的な分類である『指示/命令』の変換パターンを3つ見て行きましょう。


【指示/命令の変換パターン1】

否定的な分類である『指示/命令』の言葉を、肯定的な分類の『受容/共感』と『願い』に変換します。

『指示/命令』変換パターン1

『指示/命令』変換パターン1

『指示/命令』変換パターン1の例1

『指示/命令』変換パターン1の例1

走ってはいけない場所、例えばお店の中や人込みなどで子どもが走り回っているとついつい「走らないで!」と大きな声で静止をしたくなりますね。その『指示/命令』である「走らないで!」を、『受容/共感』の「走りたいね」と、『願い』の「歩いて欲しいな」に変換しています。「走りたいね、でも歩いて欲しいな。」。

 

走りたいという子どもの気持ちを『受容/共感』の言葉で受け止めた上で、『願い』の言葉で大人が望む行動を伝えています。

頭ごなしに「走らないで!」と言われるよりは、自分の走りたい気持ちを受け止めてもらうことで、自分の気持ちが分かってもらえたと納得して大人の話を聞けるようになります。その上で「歩いて欲しいな」や「歩いてね」等、大人が望む行動を『願い』すると素直に行動に移し易いのです。

もし子どもが駄々をこねている場合は、『受容/共感』の言葉を繰り返す、スキンシップをとる等をし、落ち着くまで待ち続けることがポイントです。落ち着く前に『願い』を伝えても駄々がエスカレートする可能性があります。

 

それではもう一つ同じ変換パターンの例を見て見ましょう。

指示/命令の変換例

『指示/命令』変換パターン1の例2

騒いではいけない場所、例えば電車の中や図書館などで大きな声を出していると「静かにして!」「静かにしないさい!」等と注意したくなりますね。その『指示/命令』である「静かにして!」を、『受容/共感』の「いっぱいお話したいよね。」と、『願い』の「静かにして欲しいな。」に変換しています。

頭ごなしではなく、話したい騒ぎたい子どもの気持ちを受け止めてからこちらのして欲しい行為をお願いしています。

 


【指示/命令の変換パターン2】

『指示/命令』の2つ目の変換パターンとして、『受容/共感』と『理由を伝える』に変換することもあります。

『指示/命令』変換パターン2

『指示/命令』変換パターン2

『指示/命令』変換パターン2の例1

『指示/命令』変換パターン2の例1

『受容/共感』で気持ちを受け止めてから、『理由を伝える』の「走ると危ないよ」「転ぶよ」「ぶつかるよ」等、何故その行為を止める必要があるのかを伝えることで、自分で理由を理解して約束事を守ろうとするようになっていくことが期待できます。理由を伝えることで次に同じような場面になった時に「危ないから走っちゃだめなんだ」と思い出すことが出来ます。"次につながります"。

また、『受容/共感』を介さずに、『理由を伝える』のみでも肯定的な表現で子どもの行為を正せる場合も多いです。何度も注意を受けている場合は、子どもは走ってはいけないことを理解しています。理解しているけれど自己制御できないのが子どもなのです。そのような場合は「転ぶよ」「ぶつかるよ」等の走ってはいけない理由だけを伝えても十分に子どもの行為を止めさせることが出来るのです。間違っても走り回る度に「やめて!」「走らないで!」「何度言ったら分かるの!」と大人の方が大きな声で怒鳴ることは控えたいですね。子どもの自己肯定感の低下も心配ですし、何より大人も疲れます。それを「ぶつかるよ」の一言で場を収めることが出来るのです。

 

また、『願い』と『理由を伝える』を組み合わせることでも子どもは話を聞きやすくなります。強制感が無いからです。

「歩いて欲しいな。だってお友達とぶつかっちゃうよ。」

「静かにして欲しいな。ご迷惑になってるよ。」等々。

 

『受容/共感』『願い』『理由を伝える』の3つを組み合わせることも効果的だと思います。

指示/命令の変換例(組み合わせ)

『指示/命令』変換パターン2の例2

 


【指示/命令の変換パターン3】

『指示/命令』の3つ目の変換パターンとして、『問いかけ』『復唱』(または『代弁』)『受容/共感』に変換することもあります。

『指示/命令』変換パターン3

『指示/命令』変換パターン3

『指示/命令』変換パターン3例1

『指示/命令』変換パターン3例1

例えばまだ公園で遊んでいたいのにもうお昼ご飯だから帰ろう」とママに「言われて泣いて駄々をこねることがありますね。毎日の事だと親の方も "またか…" となりつい「泣くのやめて!」「泣くんだったらもう公園来ないよ!」等、否定的な言葉を言ってしまいがちです。

そのような時は、まずは「どうしたの?」「なんで泣いてるの?」等、『問いかけ』をしましょう。そして子どもから返ってきた言葉をそのまま『復唱』してあげましょう。また、言葉が上手く返ってこなかった場合は子どもの気持ちを想像して『代弁』してあげましょう。この例では「まだ遊びたかったのね」「まだ遊びたかったね」等になります。自分の気持ちを復唱または代弁してもらうことで、自分の気持ちを分かってもらえたんだと落ち着くことが出来ます。

そして『受容/共感』で「まだ遊びたいよね。分かるよ。」と共感を示すことでより落ち着いて大人の話を聞くことが出来るようになります。つまり、子どもが自分で気持ちを切り替えることを支えることになるのです。

自分の気持ちをを大切にされたという想いは、親への信頼と愛着へとつながり、自己肯定感が育まれていくのです。

 

子どもの行為表現には全て理由があります。当然泣くことにも子どもなりの理由があり泣かざるを得ない状況があるのです。それを頭ごなしに「泣くのやめて!」と抑圧すると子どもはどんな気持ちになるでしょうか?確かに泣かれるのは親であっても嫌な気持ちになるかもしれませんが、優しい口調と笑顔で『問いかけ』『復唱』または『代弁』、そして『受容/共感』とつなげて子どもの心の安定を保障したいですね。

 

日常的に指示/命令ばかりが続くと、子どもは自分で考える意欲が低下し指示待ち人間になります。今現在、指示/命令が多いなと感じられている方は、上記の変換を身に着けて指示/命令を減らし、子どもへの悪影響を防ぎたいですね。

さて、全ての分類について記述していくとこの記事が長くなりすぎるので、ここでは『指示/命令』の変換例の説明に止めておきますね。

他の分類については後編にまとめます。

 


5.すぐに出来なくても大丈夫(^^)

変換すれば良いとは言っても、口をついて出てしまうものはしょうがない、変換出来ないと思われる方もいらっしゃるでしょう。そのような方も心配ご無用です。すぐに出来るようになる必要はありません。初めから完璧に出来る人はいません。1日に10回否定的な言葉を使ってしまっていたなら、まずはその内の1回だけでも変換出来れば良いのです。そして後から「あぁあの時、否定的な言葉を使ってしまったな」と気付くことが出来れば良いのです。

変換を繰り返すうちに、変換を意識しなくても肯定的な言葉が出てくるようになります(^^) 

頭の片隅に入れておくだけでも違うものです。

 

また、頭で考えて肯定的な言葉に変換は出来たけど、自分の本音とは違うのでイライラしてしまうということもあるかと思います。イライラ/怒りついては、『アンガーマネジメントより大切なもの』でお伝えします。

 

9-2.子どもへの理解が深まれば子育てライフからイライラが消え去る[アンガーマネジメント]

よく、「子育てにイライラは付きもの」「躾の為(子どもの為)だから怒るのは仕方ない」という声を聞きます。
果たしてそうでしょうか?
なぜイライラするのか。大声で怒るのか。マイナスな感情を起こさないためには、子どもの事を理解することが1番です。
どうして言うことを聞かないのか、どうして泣いているのかが分からない場合、焦りや思い通りにならないイライラから怒ったり抑えつけたりすることになるでしょう。

ですが子どもへの理解が深まり、なぜグズっているのか、なぜ言うことを聞いてくれないのかを想像ですることができれば、焦りやイライラではなく落ち着いて子どもと向き合えるはずです。その子どもの様を怒りではなく微笑ましく愛らしく思えることでしょう。
子どもへの理解が深まれば深まるほどイライラや怒りの感情からは離れていくのです。

それでは、子どもが怒ったり駄々をこねたりした場面を例に、①理解が浅い場合と②理解が深い場合の違いをフローで見て見ましょう。

子どもへの理解の違いによる結果の違い
図)子どもへの理解の違いによる結果の違い

①は子どもの事を理解出来ていないと、クズっている理由や言うことを聞かない理由が分からず大人は焦り、イライラしてつい大きな声で怒鳴ってしまうことがあります。そもそも理由を考えようとすらしないかもしれません。
怒鳴られた子どもは、更にグズりがエスカレートし、親は益々イライラが募る事でしょう。

②は同じ場合でも、子どもへの理解が深ければ、どうしてグズっているのか、言うことを聞いてくれないのかを考え、何か満足出来ていないことがあるから素直になれないんだなと子どもの気持ち(内面)を想像することが出来ます。そして気持ちに対してアプローチすることが出来るのです。
自分の気持ちを分かってもらえた子どもは、心のつっかえが取れて満足し親への信頼が高まるでしょう。親自身も更に子どもへの理解が深まり自分の子育てに自信が持て、子育てライフを楽しむことができるはずです。

ほんの1例を見ただけですが、子どもを理解しているということはあらゆる場面で子どもの行為の理由や動機、子どもの気持ちが想像出来、余裕をもって子どもと向き合えるということです。外面に引っ張られるのではなく内面を捉えることが出来ていれば、大人のアクションが怒りになることは無いと日々保育をしていて感じます。

是非、子どもというかけがえのない尊い存在への理解を深め、慈しんでいきたいものです。
子どもを知れば知るほど子育てが楽しくなる。親の心も豊かになる。人生が豊かになる。これほど素晴らしいことがありますでしょうか。

当サイトが子どもへの理解を深める一助となるのであればこれほど嬉しいことはありません。

エピソード:自分が大切にされたから相手を大切にできる

保育園でのエピソードです。


1.状況

保育室での自由遊びの時間の出来事。
2歳児Aちゃんと1歳児Bくんとのやりとりです。
 
Aちゃんが積み木を積み上げて遊んでいまず。
B君がそれを欲しがって手を伸ばしますが、Aちゃんは積み木を抱えて嫌がりました。
  

2.エピソード

Aちゃん: しばらくして積み上げるのをやめて、積み木をおままごとのキッチンシンクの中に入れる。そして、シンクから少し離れてお皿を出して遊び出す。
保育者: 「積み木使い終わったの?」
Aちゃん: 慌ててシンクに戻り、首を振る。
保育者: 「終わったら貸してあげてね」
B君: 「う"ー」と納得いかないような声を上げる。
Aちゃん: そんなB君を見てニンマリする。
保育者:

一見いじわるなように感じるも、「使ってないのだから貸してあげなさい」など、強制的な関わりは控える。
"自分のもの"という概念がしっかり理解できない限り"他人のもの"や"貸す"という概念も理解できないという発達の順序がある。


Aちゃんは今、"自分のもの"という概念の認識と、"他人が欲しがっているものを自分が占有している"という喜び、或いは優越感を感じているのだろうと思った。
そしてそれは、心の発達に必要で重要な段階であると思い、介入はせず「待つ」ことにした。

B君: 保育者の顔を見て、貸して欲しいということを表情や動きで強く伝えてくる。
保育者: 「貸して欲しいねぇ」
「でもAちゃん使ってるんだって」「終わったら貸してもらおうね」

他の積み木をB君の近くに置いてみるが、B君は手で払いのける。
Aちゃんが使っている積み木でなければ納得しないみたい。
Aちゃん: そんなB君を横目で見たり、時には"積み木は自分のもの"と言わんばかりに積み木を抱きかかえたりしながら遊びを続けている。
 


そんなやりとりが続き、20分ほど経過する。すると…

Aちゃん: 自らB君に近寄り「はいどうぞ」と、積み木をB君に貸してあげる。
そして、まだ1歳児のB君が出来ない難しいところを助けてあげながら一緒に遊び始めた。
保育者: 貸してあげられたことをあえて褒めたりはせず、Aちゃんが自分で決めた主体的な行動を認め喜び、引き続き見守った。
 

3.振り返り

Aちゃんは積み木を"自分のもの"としっかり認めてもらえた満足感や喜びから、自分で納得してB君に貸すことが出来たのだと感じました。
子どもが自分の気持ちに納得出来たときの自発的な意欲と、本当はどうすれば良いのかを知っている(この場面では玩具を使い終わったら貸すこと)ということを改めて知ることが出来た場面だったと思います。
 
子どもの同士の玩具の貸し借りを、大人が指示して形付けるような関わりをしなくて良かったと思いました。恐らく、「貸してあげなさい」等と少しでも強制をしていたらAちゃんは泣いたり嫌がったりして、本来不要な慰めや寄り添いが必要になっただろうと思います。何よりAちゃんと私の信頼関係や愛着関係は崩れ去っていたことでしょう。そして、次に同じような場面が訪れた時、貸し借りを強制させられた記憶が蘇り、頑なに貸すことを嫌がり抵抗するようになるでしょう。
 
今回の様に、大人に自分の思いや意思を大切にしてもらい、"自分のもの"という概念の理解が進むことで、相手の気持ちを理解し自ら貸し借りすることが "身に着いて" いくのだと、多くの子ども達を見て確信しています。これは大人が主導して貸し借りを覚えさせて "表面的に形付ける" こととは全く異なるように思います。
 
自分が大切にされたから相手の事も大切に出来るということを忘れないようにしたいですね。

2-8.アサーティブ子育て|肯定的な表現を(前編)

 


1.アサーティブとは

Wikipediaによると、アサーティブ(アサーティブなコミュニケーション)とは、「自分と相手の人権 (アサーティブ権) を尊重した上で、自分の意見や気持ちをその場に適切な言い方で表現することである」とあります。

簡単に言うと、「相手を傷付けることなく自分の意見を肯定的な表現で相手に伝えること」と私は捉えています。 

 

つまり、この記事でお伝えする「アサーティブ子育て」とは、「子どもを傷付けることなく親の意見や想いを肯定的な表現で子どもに伝える子育て」ということを意味します。

子どもの自己肯定感を高めるアサーティブ子育て

アサーティブ子育て

もしあなたが否定的な感情を抱いた時、その感情を肯定的な表現に置き換えて子どもに伝えることが出来れば、親子とも幸せな子育てライフを送れるのではないでしょうか。

それではアサーティブ子育てで重要な「子どもを傷つけることのない肯定的な表現」とはどのようなものなのか見て行きましょう

 


2.表現の種類

まず、一言で表現といっても、それは言葉掛けだけではなくいくつか種類があります。

それは、「言葉掛け」「表情」「雰囲気」の3つです。これらの全てが表現であり、子どもに伝わるものです。 

アサーティブ子育てにおける表現の種類

図)表現の種類

「言葉掛け」「表情」「雰囲気」、そのすべてが肯定的なものであれば良いですね。

では1つひとつの表現についてより詳しく見て行きましょう。

 


3.言葉掛け

表現の1つである言葉掛けですが、子どもに与える影響はやはり1番直接的で大きいでしょう。

例えば食事中にイスの上に立ってしまう子どもに対して、「立ったらダメでしょ!」「何度言ったら分かるの!」と大きな声を出すのと、「危ないから座ろうね」と優しく諭すのとでは子どもの心に与える影響は違います。

否定語ではなく肯定語を用いて伝えたいですね。

 

また、肯定語を使えばそれで良いというものでもありません。声の大きさやトーン、話すスピードもとても重要な役割を持ちます。

アサーティブ子育て言葉掛けの要素

図)言葉掛けの要素

声が大きすぎても威圧感を与えますし、小さすぎてもあまり子どもと話したくないという印象を与えるように思います。肯定的か否定的かと言われると否定的な印象を与えます。

トーンが低すぎても怖い印象がありますね。同じ言葉でも、怖いトーンで伝えるのと柔らかなトーンで伝えるのとでは、子どもの受け取り方は180度変わります。

あまり早口で伝えても圧力を感じますし、話をするのが面倒なのかな、早く終わらせたいのかな、と子どもは感じてしまうように思います。

 

肯定的な言葉を選び、適切な声量、トーン、スピードを意識して、子どもに威圧感を与えないようにしたいですね。

後編では、言葉掛けの分類や具体的な言葉の変換例などを詳しく見て行きます。

 


4.表情

親が子どもに見せる「表情」も表現の1つです。 

子どもは親の表情を敏感に捉えて、親が喜んでいるのか、怒っているのかを判断しながら自分のとる態度を決めています。

それでは肯定的な表情、否定的な表情とはどのようなものか見て行きます。

お母さんやお父さんが笑顔で楽しそうな顔をしているとお子さんも楽しくなってきますよね。穏やかな表情で微笑みながら話しかけられたら安心感が感じられ、子どもも穏やかに育ちそうです。それらは肯定的な表情と言えるでしょう。 

逆に、 いつもしかめっ面で何か不満そうな表情をされた場合、子どもは不安を感じ怯えて委縮していくでしょう。自分が否定されていると感じます。表情に乏しい場合は子どもの表情も乏しくなります。否定的な表情と言えますね。

 

どんなときでも笑顔でと完璧を目指す必要は全くありません。もし厳しい表情をしていることが多いなと思われる方は、少しだけ表情を意識されてみると宜しいかと思います。

おまけ:

子どものお絵に描かれるママパパの顔はどんな表情をしていますか?描かれているその表情は子どもが最も印象的に感じている表情ですよ☆

  


5.雰囲気

家庭の「雰囲気」も大事な表現の内の1つです。

一般的に、牧歌的でのんびりとした雰囲気が子どもの健やかな成長に好ましいと言われています。 急かされて慌ただしい雰囲気や、殺伐とした緊張感のある雰囲気では、大人も子どもも気が休まりませんね。

 


6.表現のまとめ

それでは、ここまで見てきた3つの表現について表でまとめてみます。

アサーティブ子育て3つの表現まとめ

表)3つの表現まとめ

いかがでしょうか?

例えば、暗いトーンの大きな声で早口で、しかめっ面で「何回言ったら分かるの!」「走っちゃダメでしょ!」というのと、明るいトーンでゆったりと微笑みながら「危ないから歩こうね」と伝えるのとでは、子どもの受け取り方、与える影響は180度違いますよね。

前者はもはや恫喝です。子どもに与える影響も深刻なものがあります。

委縮してしまい日々不安な気持ちで過ごしている子どもの姿が、更に親の否定的な表現を引き出すという悪循環に陥ります。

今現在、否定的な表現を使っていると感じている方。いきなり明日から全て肯定的な表現に変えるというのは難しいと思います(人間何事も「変わる」というのは大変難しいものです)。少しずつで良いんです。もう少しゆったり話してみようとか、大きな声を出さないよう気を付けてみるとか、1つずつ心がけて見て下さい。完璧を目指さなくても良いんです。少しずつ変えていくこと意識することが、半年後、1年後の大きな改善に繋がるのです。右肩上がりで進むことはありません。「あぁ今日は大きな声で怒っちゃったな」と思う日もあるでしょう。でもそれに気付けることが大切なのです。

 

育児子育ては何年も続きます。長い、大変と思われるかもしれませんが、子どもが手を離れてから振り返ってみると「あの頃の自分が1番輝いていた」「充実した期間だった」と思われる方が大勢いらっしゃいます。

 

肯定的な表現で関わり、自己肯定感が低下し、委縮をさせることのないよう関わっていきたいですね。

 


7.まとめ

 ・「アサーティブ子育て」とは、「子どもを傷付けることなく親の意見や想いを肯定的な表現で子どもに伝える子育て」。
・ここでいう表現とは、「言葉掛け」「表情」「雰囲気」の3つを指し、この表現が子どもの心に影響を与える。
・言葉掛けでは、肯定的な言葉、適切な声量、トーン、スピードを用いて子どもを委縮させないようにしたい。
・親がしかめっ面で何か不満そうな表情をしていると、子どもは自分が否定されていると感じ自己肯定感が低下していく。親が楽しそうな顔をしていると子どもも楽しくなっていくる。肯定的な表情で子どもに安心感を与えたい。
・慌ただしい雰囲気よりも、のんびりとした牧歌的な雰囲気の方が子どもは伸び伸びと育つ。
 
中編では「言葉掛け」についてより詳しく具体的に見て行きます。

2-7.子どものテンポで話を聞こう

 


1.初めに

子どもの話を丁寧に聞いてあげることは、あなたのことを大切にしていますよと伝えることにもなります。

この記事では子どもの話を子どものテンポに合わせて聞くことの大切さについてお話していきます。

 


2.急かしていないか?

子どもの話を聞く時に中々言葉が出てこないからといって「早く言って」「忙しいんだから」と急かしたりしていませんか?忙しい時などは、ついつい大人と同じテンポでの会話を求めてしまいがちになりますが、相手はまだ生まれて数年の小さな子どもです。出来る限り子どもにじっくりと言葉を選ばせてあげたいものです。

大人でも急かされると言いたいことを上手く言えなかったり、嫌な気持ちになったりしませんか?子どもも同じです。大好きなお母さんお父さんに「忙しいんだから早く言って」等言われると、ボクの話聞きたくないのかなぁ、ボクよりも大事なことがあるのかなぁという気持ちになり、自己肯定感の低下につながります。

大切なお子さんにしっかりと時間を使ってあげたいですね。

 


3.先回りしていないか?

また、子どもの話を聞く時に「それってこうでしょう?」と先回りをしていませんか?

子どもは言葉がすぐに出てきません。だからといって子どもが言おうとしているのに先回りして大人が代わりに話してしまっては、子どもが自分で考える経験、自分の言葉で表現する経験を奪ってしまうことになるのです。

 


4.子どものテンポに合わせる

例え上手く話せなくても、言葉がすぐに出てこなくても、子どもの話すテンポを認めて、大人の都合で遮らず、話し終えるのを根気よく待ってあげたいですね。

自分のテンポにしっかり付き合ってくれた、ちゃんと話を聞いてもらえたと感じた子どもは、自分が大切にされていると感じ、自己肯定感が育まれていきます。

子どものテンポ、子どものペースに合わせるということは、子どもを主体として認めるということです。一つの人格として扱うということです。

これは子どもの人権を守るということにもつながり、何よりも大切なことなのです。また、子どもを主体として認めることが、子どもの自主性や主体性、意欲を引き出していくのです。

 

子どもを主体とした育児に関しては『4-1.子どもを主体とした子育て』の章で詳しく見て行きますね。

 


5.どうしても時間がない時には

朝の忙しい時間などはどうしてもじっくり話を聞いてあげることが出来ないかもしれません。そんな時は話を聞いてあげられない理由を丁寧に柔らかい口調で伝えることが大切です。

中々そこまで丁寧な対応はできない、大変だと思われるかもしれませんが、「もう後にして!」「静かにしてて!」等と言って大泣きされるよりは、初めから丁寧に接する方が結局は楽になることが多いと思います。1度気持ちが崩れてしまうと、それを立て直す必要が出てきますし、それまではずっと崩れた気持ちを引きずったままになりますからね。

そして、時間が出来た時にはしっかりとフォローをしてあげることが重要です。そうすることにより、子どもは、話を聞いてもらえない時もある、そして我慢して待った後には必ず聞いてもらえるということが理解出来ていくのです。そこの理解が深まれば、話を聞いてもらえない場合でもしっかりと我慢することが出来ていくでしょう。親への信頼感を基に見通しが持てるようになるということです。

 

ちなみに大泣きされて気持ちが崩れた場合は『親のアクションはどんな時でも共感スタート』を基に気持ちを受け止めることと謝罪で子どもに分かってもらいましょう!

 


6.保育園での様子

保育園でも当然1人ひとりの話を相手のテンポに合わせて丁寧に聞いてあげることを意識しています。1つひとつの場面で子どもが納得して次に進むことが重要だからです。 もし十分に納得出来ずにいると、その気持ちをずっと引きずり、そのストレスが友達に向いてトラブルに繋がることがあります。

納得出来なくても自分で気持ちを切り替えられる子、ずっと引きずって不満気な態度を取り友達とのトラブルに発展する子、それぞれ個人差はありますが。

私が担当しているクラスには十数人の子ども達がいて、それぞれが自分が話したいタイミングで話しかけてきます。また、1人と話していると、先生を独占したいという思いから他の子も割って入って話してくることが普通です。複数の会話が同時に進行していくことも日常ですが、1人ひとりにしっかりと時間を使ってあげて、自己肯定感に繋げていきたいです。

 


7.まとめ

子どもの話を子どもの話すテンポに合わせて丁寧に聞いてあげることは、あなたのことを大切にしていますよと伝えることにもなり、自己肯定感の向上につながる。

急かさず、先回りせず、根気よく話を聞くことで子どもの考える経験やじぶんの言葉で話をする経験を奪わないようにしたい。

どうしても話を聞いてあげられない状況の時には、そのことを優しく伝え、後からフォローしよう。しっかりフォローすることで、話を聞いてもらえない場合もあること、我慢すれば後でちゃんと聞いてもらえることを理解していくことが出来る。

エピソード:葛藤を乗り越える力

保育園でのエピソードです。


1.背景

園庭での自由遊びの時間の出来事。
給食の時間が近づいてきたので保育士は子ども達に玩具を片付けて集まるように声をかけています。
片付けが終わり保育士のもとに集まる子ども達。そんな中、Aちゃんはまだ遊びたいようでお片付けが出来きません。そんなAちゃんに保育士Bは「Aちゃん早く片付けて、みんなもう集まってるんだけど」と片付けを急かしています。遊ぶでもなく片付けるでもなく、その場でしゃがんで動けなくなるAちゃん。遊びたい気持ちと片付けなきゃという気持ちの間で葛藤しているようです。
  

2.エピソード

保育士B: Aちゃんの様子にしびれを切らせて…
「Aちゃんまたなの?いっつも遅いよねぇ」
「もういいです。待ちません!」と立ち去る。
Aちゃん: 寂し気で悲し気な表情でうつむいている。
1人園庭に取り残されてしまう。
保育士Ⅽ: Aちゃんにゆっくり近づいてしゃがみAちゃんの目線に合わせる。
「Aちゃん、まだ遊びたかった?」
Aちゃん: コクリと頷く。
保育士Ⅽ: 「そっか遊びたかったね。そうだよね。」
 少し間を置いて…
「片付けどうする?」
Aちゃん: 表情が戻る。使っていた玩具を持って立ち上がり、すぐに片付けてみんなのもとに集まった。
 

3.振り返り

いつもこのエピソードのようにスムーズに進むわけではありませんが、子どもの気持ちを聞いてあげること、受け止めること、共感を示すことの大切さがよく分かります。
 
保育士Bは自分がやらせたいことやって欲しいことを伝えてから立ち去りました。
保育士Cはまずは「まだ遊びたかった?」とAちゃんの気持ちを聞いてから「そっか遊びたかったよね」と共感しています。自分の気持ちが分かってもらえたAちゃんは遊びたい気持ちに折り合いをつけて気持ちを切り替えることができたようです。
 
どちらが正しいどちらが間違っていると言うつもりはありません。人それぞれの考え方があり、保育士Bの関わり方だけでもしばらくすれば片付け始めたかもしれません。
但し、玩具を片付けるという行動だけみればどちらも大差がないように見えるかもしれませんが、Aちゃんの心の状態はどうでしょう?
 
保育士Bの関わりだけでは自分の気持ちが分かってもらえず燻ぶったままで、保育者へのひいては大人への信頼を失われるかもしれませんね。保育士Cのように丁寧にAちゃんの気持ちを捉えて共感してあげることで「この人は私のことを分かってくれている」と信頼関係が生まれ自己肯定感が育まれていくのです。
 
このように、大人の関わり方1つで心の育ちの面では大きな違いが生まれてきます。
 
ブログの中で何度もお伝えしていますが、子どもは例え自分の中の要求を満たせなくとも(今回のケースではまだ遊びたいという要求)、気持ちを十分に受け止めてもらえさえすれば葛藤を乗り越えて自らやるべきことに向かおうとするのです。 
 
気持ちを受け止めることに関してはこちらの記事『親のアクションはどんな時でも共感スタート -』に詳しく載っています。是非ご覧ください☆

「自分で片付けたかったの!」

保育園でのエピソードです。


1.状況

4歳児クラスのお話です。
自由遊びの時間に、他の友達に混ざっておままごとをしているAちゃんとBちゃん。
お片付けの時間となり片づけを始める子ども達。Aちゃんがテーブルに置いてあったお弁当箱を片付け始める。するとBちゃんが怒り出してAちゃんを叩き、言い合いになったところで保育士が割って入った。
  

2.タイムライン

保育士:「どうしたの?」
Aちゃん:「Aが片付けたかったのっ!」
保育士:「Aが片付けたかったのね」
Bちゃん:「Bが片付けるんだったのっ!」
保育士:「Bが片付けるんだったのね」
Aちゃん:「でもAが片付けてたのっ!」
保育士:「Aが片付けてたのね」「2人とも片付けたかったのね」
Bちゃん:「Bが使ってたお弁当箱なの!」
保育士:「Bちゃんが使ってたお弁当箱だったんだ。だから片付けたかったのね」とBちゃんの肩に手を置く。
Aちゃん:「でもAが片付けてたのに」
保育士:「Aちゃんも片付けたかったんだね」とAちゃんの背中をさする。
 
保育士:「2人とも片付けたかった。そうだよね。うん。分かったよ。」「どうすれば良いかね?」
AちゃんBちゃんとも何も言わない。 
保育士:「2人の気持ちは分かったからね。今度は叩こうとせずお話できると良いね」と2人の頭を撫でる。
 
2人とも落ち着きを取り戻し、少しうつむき加減で考え事をしているような表情をしている。
 
しばらくして、
 
Bちゃん:「叩いてごめんね」
Aちゃん:「勝手に片付けてごめんね」
 
保育士:「あら、2人ともしっかりお話出来たね。先生嬉しいな」
 
この後2人は残ったブロックを一緒に片付け始めた。 
 

3.考察

玩具の片付け時に、誰が片付けるかで起きる争い事。よくある光景です。
ここでの保育士の対応のポイントは2つ。
 
1つ目は、保育士が子どもの言葉をそのまま繰り返し続けた点です。
子どもから出てくる言葉をただただ繰り返しただけですが、子どもにとっては自分の気持ちが分かってもらえたと安心し落ち着くことが出来ます。変に意訳したり、子どもの心が揺れている時に叱ったりしても逆効果になることが多いです。
 
2つ目は、保育士が「Bちゃんが使ってたのだからBちゃんが片付けるべき」等のジャッジをしたり、「ごめんねしなさい」と謝ることを強要をしていない点です。
物事の良し悪しが分かっていない場合は、何が正しかったのかをきちんと伝える必要がありますが、このケースでは、AちゃんもBちゃんも何がいけなかったのかを心の中では分かっています。分かっていても上手く出来ないのが子どもです。十分に分かっていることについてわざわざ「〇〇すべきだった」等と更なる追い打ちをかけるようなことは私はしないように気を付けています。大人でも分かっていることをいちいち言われるのは良い気分ではないですからね。また、子ども自身が良し悪しを分かっているので「あやまりなさい」など謝ることを強要するのもヤボな話です。AちゃんもBちゃんも、自分の気持ちを分かってもらえた安心感満足感から自らの過ちを素直に認めることが出来て、自ら謝罪が出来たのです。
逆に言うと、自分の気持ちを分かってもらえず不満を抱える中で「ごめんねしなさい」と強要されて形だけ謝ることが出来たとしても、それにどれほどの意味があるのかということです。子どもは不満を抱えて、大人が満足するだけの構図ですね。
 
自分の気持ちが分かってもらえるということが如何に大切かということが分かるエピソードだと思います。
 
共感に関してはこちらの記事『親のアクションはどんな時でも共感スタート -』に詳しく載っています。是非ご覧ください☆