11-2.忘れられない出産の日
ワークライフバランスに理解ある会社だったこともあり、出産予定日の数日前から有給休暇という形で育児休暇に入らせてもらっていました。
いつ家内に陣痛が来ても慌てなくて済むように、いくつかのタクシー会社の電話番号を控えたり、病院がやや道が入り組んでいる場所にある為、運ちゃんに渡せすだけで分かるよう病院までの地図を作ったりして、何があっても大丈夫、慌てなくて済むように備えていました(当時はスマホなどまだまだ普及していない時代なのです)。
私が育児休暇に入る前に陣痛がきた場合のことや、車は所有していますが、私の手も空いていた方が何かと良いだろうという考えもありタクシーを利用することを選択していました。
しかし予想外なことって起きるものですね。
その日は午前中に軽めの陣痛がきて1回病院まで一緒に歩いて行き診てもらいました。まだ大丈夫とのことで一旦帰宅、家でゆったりと過ごしていました。夕方になり急に空模様が変わり土砂降りに。凄い雨だなぁと外を見ていると、家内が「凄く痛くなってきた」と言い出しうずくまりました。その普段とあまりにも違う様子にすぐに控えてあったタクシー会社の電話番号にTEL!大丈夫!すぐにタクシーが来て、予め用意していた病院までの地図を渡せばあとは自動的に病院に着く。はずでした…。
しかし、この急激な土砂降りの影響でタクシー会社はどこもパンク状態。いくら電話しても繋がらない、もしくは出払っている状況。30分は電話をしまくっただろうか。
基本的には冷静な私も流石にこの時は若干パニックになりました。うずくまっている家内を玄関に残し、マンションの駐車場までずぶ濡れになりながらダッシュ!!(傘は差していますよ)
この時ほど機械式駐車場の煩わしさを呪ったことはありませんでした。ようやく出てきた車にびしょ濡れの傘を投げ込み、マンションのエントランス脇に車を止め(本当は止めちゃダメ)、3階の部屋までダッシュで戻り、家内をなんとか連れてきて車の後部座席に寝かせる。ようやく病院へ発進!
タクシーが繋がらない時からもうずっと心臓はバクバク。
土砂降りの中、後部座席にうずくまる家内を心配しつつ事故らないように慎重かつ素早く運転。15分後ようやく病院に到着!駐車場など無い病院の為、入口にベタ付け、細い道路を塞いでいたけどこの時ばかりはもう仕方ない。
入口で看護師さんに家内を預けてすぐに車に戻り近くのパーキングに停めてまたダッシュで病院へ!
病院に戻ると家内は既に分娩室に。このとき時間は18時。ここから永遠とも感じられる時間を経て1時過ぎに無事出産。
それから3時ぐらいまで分娩室にいてそこでお別れ。真っ暗な中、感動的な立ち合い出産を思いなぞりながら車を止めたパーキングまでゆっくり歩く。パーキングに着き車を見ると、急な土砂降りでパニックになりながら車を出して病院にたどり着いたことを随分昔のように思い出す。
そういえばいつまで雨は降っていたのだろう。
ゆっくりと車を走らせ帰宅。
家内にとってもすごい1日だったろうけど、自分にとってもすごい1日だった。
この1日を頭の中で整理しながら就寝。
さぁ明日は何時に病院へ行こう!胸がドキドキ。こんなに楽しみなことがこれまでの人生であっただろうか。
まさに新しい人生のスタートでした。